ニデックが昨年末、事前交渉なしに表明した牧野フライス製作所への株式公開買い付け(TOB)は、牧野側の対抗措置の是非を巡る法廷闘争に発展した。問われているのは「ホワイトナイト(友好的な買収者)の登場をいつまで待つ必要があるのか」。専門家も注目する争いの行方について、学習院大学国際社会科学部の星明男教授(会社法)に聞いた。
――牧野フライスは対抗措置の目的を「競合提案を検討する期間の確保」としています。ニデックがTOBをいったん取り下げ、牧野側が求める5月9日以降に再設定するなどした場合には中止する仕組みです。ただ、ニデックは数百億円規模の損害が生じる恐れがあるとして差し止めの仮処分請求に踏切ました。
「似たような例として、2005年に日本技術開発という会社が買収側にTOBの延期を求めて時間稼ぎの効果だけを持つ対抗措置を導入した例があります。その後、買収側が差し止めの仮処分を申請し、この時は裁判所が措置の妥当性を認めました」
「ただ、これは06年に公開買い付け規制が変わる前の事件で、買収される側にTOB期間を30営業日まで延長請求する権利が認められていなかった時代の話です。ニデックは今回のTOB期間を31営業日にしていますが、これをさらに伸ばせと要求できるのかどうかは裁判所の判断がまだ出ていません。専門家の間でも意見は分かれており、その意味でも注目されています」
――差し止め請求は認められるでしょうか。
「公表されている情報がすべ…